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社員の給料が払えない!危機的状況で経営者がとるべき行動とは?

会社の資金繰りは、経営者にとって大きな悩みのひとつです。特に、社員の給料日は毎月1度の大きな現金支出の日ですから、どうやって工面しようか頭を悩ませたことがある方もいるでしょう。

しかし、資金繰りに行き詰まって、数々の支払いができなくなり、どうしても社員の給料が支払えなくなった場合、どうなってしまうのでしょうか?会社の資金が底をついてしまうような危機的状況に陥ったとき、経営者のとるべき行動についてまとめました。

支払いを止める順番はどうする?

会社を運営する上で、支払いにもさまざまな種類があります。これらを大きく分けると、銀行などの借入返済、従業員の給与(人件費)、仕入れ先への買掛金の支払い、税金や社会保険料、経費が挙げられます。
では、どうしても資金繰りがうまくいかず、支払いを止めなければならなくなった場合、その順番はどのように考えるべきなのでしょうか。

支払いには優先順位がある

支払いを止める順番は、やはり経営に影響が少ないものから選択することが重要です。どうしてもすべての支払いに対応できる現金がない場合は、まず、銀行への返済金と税金について、支払いを待ってもらえないか相談してみるのがおすすめです。

銀行や国、地方自治体などは、支払いがきびしい場合、納付を待ってくれたり、分割での支払いを認めてくれたりする場合があります。支払う姿勢を見せることで、その可能性も高まるでしょう。ただし、無断で滞納を続けた場合は、強硬手段をとられることもありますので、必ず事前相談を行うことが大切です。

給料の支払い遅れは致命的

社員を雇うことは、労働力を提供する代わりに給料を支払うという契約を結ぶことですから、給料の未払いは契約違反です。これは、取引先に対して買掛金を支払わない(売買契約等の違反)のと同じことです。

経営者の中には、「資金繰りが苦しいが、社内で調整すれば(給料を遅らせれば)なんとかなる」という判断をする方もいるかもしれません。しかし、会社と社員も雇用契約を結んでいるのですから、給料もほかの支払いと同じく、きちんと支払わなければならないものです。

給料が支払われないと、社員の会社に対する信頼が失われ、士気も低下してしまいます。すると、仕事効率の低下や社員の離職が引き金となり、労働基準監督署からの処罰や裁判といった問題がどんどん連鎖的に起こってしまうでしょう。そのため、いくら手元資金がおぼつかないといっても、給料を安易に遅配させるべきではありません。

給与が払えない理由

そもそも、給料が支払えなくなってしまったり、遅れてしまったりする理由はどこにあるのでしょうか。給料の遅配が起こる原因についてまとめました。

資金不足

最も一般的な原因は、単純に会社に資金が足りないというケースでしょう。給料を支払うだけの現金が手元になければ、どうすることもできません。

ただし、単純に資金不足といっても、その根本的な原因はひとつではありません。業務効率が悪く、コストがかかりすぎていて利益が残らない場合もあれば、そもそも売上が少なすぎる場合もあります。また、一時的な設備投資や売掛金の入金期日と給料日のタイミングのずれなどが資金不足の原因になる場合もあります。

資金不足で給料が支払えない場合は、資金不足になっている原因を突き止めましょう。業務効率の向上や経営計画の見直しを行うなどの対策が必要です。一時的な資金不足であれば、ファクタリングやビジネスローンを利用して、資金をつなぐことで問題を回避できます。

経営者がルーズ

給料の支払いは、会社にとって絶対に行わなければならないものです。しかし、バックオフィス業務を担当する社員がおらず、社長みずからが給料支払い業務を行っている場合、経営者がルーズで給料日に振込が行われないケースもあります。

このような場合は、給料振込代行サービスを利用する、当日の手続きではなく事前に予約振込として給料支払いの設定をしておくといった工夫が必要です。

社員の待遇が経営状態と見合っていない

月の利益が100万円の会社が、社員に100万円の給料を出すことはできません。これは極端な例ですが、インセンティブの設定が高すぎたり、業績が悪化したのに良かったころの給料設定にしていたりすると、無理が出てくることもあるでしょう。

一度決めた社員の給料をむやみに下げるのは難しいことですが、あまりにも経営状態に見合わない場合は、社員の同意を得て給料の減額をすることもできます。また、給料額は変えずに福利厚生などを見直して人件費を圧縮することも検討しましょう。

ただし、社員の給料を減らして資金繰りを改善しようとする場合は、まず経営者、次に役員報酬、賞与、最後に社員の給与という順で行うべきです。できる限り一般の社員が不利益を被ることがないように留意してください。

給料の支払いが遅れたらどうなる

労働基準法には、賃金支払いの5原則が定められています。賃金は、「通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、一定期日に」支払われなければならないというのがその原則です。

給料の支払いが遅れると、「全額」「一定期日」「毎月1回以上」といった原則を破ることになりかねません。これは、労働基準法の定める原則に違反しているということですから、労働基準監督署の立ち入り調査を経て刑事事件として立件されたり、裁判で訴えられたりすることもあります。

給与が支払えない場合の対応

給料の未払いや遅配は大きな問題で、できる限り避けなければいけないことです。しかし、どうしても支払えないということもあるでしょう。その場合は、できるだけ社員の不安を払拭するよう、努める必要があります。

給料が支払えない状況を社員に説明する

給料が支払えない事実を社員に伝えるのは気が重いことです。しかし、隠していたとしても、給料日が来れば、結局給料が入っていないことは社員にもわかってしまいます。

「支払われるべきときになって初めて支払いがされていないとわかる」という状況は、給料でも、それ以外の支払いでも、相手の心象を大きく損ねてしまいます。給料が払えないと確定したときは、できるだけ早く社員に伝えましょう。
これは、社員の生活を守る上でも必要なことです。入ると思っていた給料が突然入らなかった場合、生活費のやりくりをするだけの時間もありません。そうなると、社員の生活基盤も揺らいでしまいます。

給料の支払いができないときは、「なぜ給料を支払えないのか」「いつ支給できるのか」「(一部支払いする場合)いくら支払えてどのくらい遅れるのか」といった状況を包み隠さず説明することが大切です。もちろん、それによって社員から不満を述べられることがあるかもしれません。しかし、給料を支払えないのは会社に非があることですから、社員の声を受け止め、誠心誠意対応しましょう。

給料の一部を支給する

給料の支払いが全額できない場合、会社の資金繰りを確認した上で、できる限りの額を支給するように努めましょう。「あと少し足りない」という場合は、全額を遅らせるのではなく、いくらなら払えるのかを計算します。

給料を複数回に分けて支給するのは、手間や振込手数料も余計にかかってしまいます。しかし、そのようなデメリットがあったとしても、社員の生活を守るためには、用意できる限りの額を支給するのが経営者としてのあるべき姿勢です。

給料遅配のまま倒産してしまったら?

社員へ給料が支払われないまま会社が倒産してしまった場合、社員は、労働者健康安全機構による「未払賃金の立替払制度」を利用することができます。これは、会社の倒産に伴って退職した方の定期賃金と退職金のうち、2万円以上の未払い賃金がある方が利用できる制度です(立替金額には限度があります)。

社員がこの制度を利用した場合、立て替えられた未払い賃金分の債権者は、労働者健康安全機構になります。よって、労働者健康安全機構から、管財人や事業主に対する弁済請求が行われます。

社員の生活と会社を守るためにも給料遅配は避けるべき

給料の遅配が起こると、社員の生活基盤が揺らいでしまいます。また、会社としても信用を失い、裁判などに発展するリスクを抱えることになります。
このようなことを起こさないために、日頃から資金繰りを意識した経営を行うことが大切です。また、万が一の場合、どのような資金調達の手段をとれるのかについても考えておく必要があるでしょう。