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資金ショート対策に役立つ、キャッシュフロー計算書の書き方と活用法

会社経営を継続していくために、資金ショートは絶対にあってはならないことです。資金ショートを起こさないためには、経営者が経営状態を把握し、資金繰りについての対策を常にしておく必要があるでしょう。その際に便利なのが、キャッシュフロー計算書の活用です。
ここでは、キャッシュフロー計算書の書き方や、活用方法についてまとめました。

資金ショートとは?

手元の現金が少なくなり、運転資金が不足してしまうことを資金ショートといいます。どのような会社でも、資金ショートが起こってしまう可能性はゼロではありません。
そもそも、資金ショートとはどのような状態で、なぜ問題があるのでしょうか。具体的な例を交えてご紹介します。

<資金ショートの例>
A社は4月に、B社から6月末日払いの1,000万円の工事を請け負いました。A社はこの工事を下請けであるC社に、600万円で発注することにしました。これによって、A社は400万円の利益を得ることができます。
ところが、A社とC社の契約では、支払いは5月末です。A社はB社からの入金前に、C社に600万円を支払わなければなりません。

A社に貯金があれば、そこからいったん支払いをしておくことができるでしょう。しかし、そうではない場合、どうにか600万円を都合しなければいけません。これが用意できず、支払い不能に陥ってしまった状態を、資金ショートといいます。
必要な支払いができなければ、会社の信用は失墜し、資金繰りが改善しなければ、倒産するリスクが高くなります。

資金ショートの回避にはキャッシュフロー計算書が役立つ

資金ショートになるような事態を回避するためには、経営者が日頃から現金の流れを把握しておくことが大切です。それには、キャッシュフロー計算書が便利です。

キャッシュフロー計算書とは、経営状況がわかる決算書を構成する書類のひとつで、会社の現金の流れを数値で示したものです。
会社の収支を把握するための書類には、ほかにも損益計算書があります。しかし、損益計算書は、あくまでも帳簿上の売上と支出を示すもので、現金の流れを知るためのものではありません。

例えば、「100万円の売上があるが、入金はまだ」「50万円の仕入れ代金を支払った」という場合、損益計算書では、50万円の黒字になります。ところが、実際には100万円はまだ入金されていないわけですから、手元資金としては50万円の不足です。損益計算書上の利益と実際に手元にある現金は、必ずしも一致しないのです。
一方、キャッシュフロー計算書は、実際のお金の動きに基づいて作成されます。

キャッシュフロー計算書の作成は、法令で義務づけられているのが上場企業だけのため、作っていない会社もあるでしょう。しかし、会社の資金の流れを正しく把握し、資金計画を立てるためには、キャッシュフロー計算書の作成をおすすめします。

キャッシュフロー計算書の作成

では、キャッシュフロー計算書は、具体的にどのように作成するのでしょうか。キャッシュフロー計算書は、貸借対照表、損益計算書とともに重要視される財務諸表で、「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」「フリーキャッシュフロー」に分けることができます。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローとは、本来の事業活動による現金の収支をまとめたものになります。営業キャッシュフローに含まれる収入には、商品やサービスなどの売上収入や、保険金や利息の受け取りなどがあります。
一方、人件費や仕入れ費用などが支出にあたります。

営業キャッシュフローは、事業で黒字が維持できているかどうかを知るための大切な指針です。損益計算書が黒字であるにもかかわらず、営業キャッシュフローが赤字の場合は、締めと支払いのずれが企業にとって大きな負担になっている可能性があります。
黒字倒産を引き起こさないために、営業キャッシュフローがプラスになっているかどうかが重要です。

なお、営業キャッシュフローの作り方には、直接法と間接法の2つがあります。

直接法

直接法では、売上収入や利息の受け取り、人件費、仕入れといった、営業活動に関わる収支などの主要な取引ごとに、キャッシュフローを総額表示します。
直接法で作成した営業キャッシュフローには、具体的に何にいくらかかっているのかを細かく知ることができるというメリットがあります。
反面、会社の営業に関わる経費や収入の費目は多岐にわたることから、一つひとつピックアップして計算書を作るのが非常に手間であるという問題もあります。

間接法

間接法では、貸借対照表と損益計算書の中から、該当する項目を抜き出して転記することで作成します。
間接法で作成する営業キャッシュフローは、当期純利益をはじめ、減価償却費、売掛金の増減、棚卸資産の増減、仕入債務の増減といった、プラスの項目とマイナスの項目を差し引きして計算します。
間接法では、細かい内訳を知ることはできませんが、損益計算書や貸借対照表が作成されていれば簡単に作成でき、関連性も理解しやすいというメリットがあります。キャッシュフローを開示している大企業も、多くが間接法で作成しています。

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローは、投資に関する収支をまとめたものになります。投資キャッシュフローの支出には、設備投資や固定資産の購入、有価証券の購入などが挙げられます。一方、固定資産や有価証券などを売却して現金化した場合は、投資キャッシュフローがプラス表示になります。

「キャッシュフローはプラスがいい」と考える人もいるかもしれませんが、投資キャッシュフローに関しては、黒字経営を行っている企業の場合、マイナスになることも多くあります。これは、営業キャッシュフローのプラスを投資に活用し、事業拡大のための設備投資や不動産購入などを行っている場合があるからです。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローは、社債の発行や銀行融資など、資金調達に関するキャッシュフローを示すものです。
新たに融資を受けたり、社債を発行したりして資金がプラスになった場合、財務キャッシュフローはプラスになります。一方、融資の返済を進めた場合や、株主に配当金を支払った場合は、その分財務キャッシュフローがマイナスになります。

財務キャッシュフローも投資キャッシュフローと同様に、マイナスのほうが健全な経営をしていると考えられます。なぜなら、新たな借入れをせず返済を進めている場合は、財務キャッシュフローはマイナスになるからです。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの両方のプラスとマイナスを合わせたキャッシュフローです。
営業収支と投資収支を合計することで、自由に使うことができる現金の額を知ることができます。なお、投資キャッシュフローはマイナスでも問題のない場合が多いものですが、フリーキャッシュフローまでマイナスになるようでは、会社にまったく資金の余裕がない状態ということです。
フリーキャッシュフローが多い会社は、それだけ余力がある会社ということで、経営状態も健全であると考えられます。

キャッシュフロー計算書を作成してみよう

キャッシュフロー計算書は、会社の現金の流れを把握して、黒字倒産を防ぐために役立つ書類です。
中小企業にとって作成は義務ではありませんが、経営状態の把握や資金計画を立てるためにも、作成してみてはいかがでしょうか。