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仕入債務とは?仕入債務回転期間と仕入債務回転率の計算方法を解説

企業が営業活動を行う上では、必ずお金の流れが生まれます。事業の運転資金を安定化させるためには、このキャッシュフローを適切に管理しておくことが大切です。

そこで考えておきたいのが、仕入れにかかった代金をどのタイミングで支払うのかということ。ここでは、仕入債務の概要と、仕入代金の支払いに関する指標である仕入債務回転期間と仕入債務回転率について解説します。

仕入債務とは未払いの債務のこと

仕入債務とは、企業が商品やサービスを提供するための材料費などを仕入れた代金のうち、支払いが完了していない債務のことです。そのため、仕入れと同時に現金で代金を支払った場合、この金額は仕入債務には含まれません。

仕入債務の種類

会社間で取引をする場合は、都度払いではなく、1ヵ月分をまとめて集計し、翌月末、あるいは翌々月末などの決まった日に支払う、掛取引が一般的です。掛取引では、品物(サービス)は受け取ったが、代金は未払い状態の仕入債務が発生します。この代金は、決算が終了するまで買掛金として計上します。

買掛金の支払いは、多くの場合、振込で行われますが、中には約束手形が利用されるケースがあります。約束手形とは、一定期間経過後に現金化が可能になる証券のこと。これも、即時払いではなく、決まった期間の後に支払いが行われることから、仕入債務に該当します。ただし、支払手形の発行総数は、東京商工リサーチが行った「手形・でんさい」の動向調査(2019年)によると、ピーク時から96%以上低下しており、現在はそれほど多く利用されてはいません。

仕入債務と資金繰りの関係

仕入債務をいつ支払うのか、また効率的な支払いができているかどうかは、資金繰りに大きな影響を及ぼします。

仕入債務は、貸借対照表(バランスシート)の流動負債にあたる金額です。この額が大きすぎると、融資などの審査で問題視される可能性があるでしょう。また、資金繰りの面から見ると、仕入債務はできるだけ遅れて支払ったほうが資金繰りに余裕が出ます。しかし、支払いを遅らせるよりも、早期に支払ってその分割り引いてもらうほうがいいという考え方もあるのです。

そのため、実際にどのような支払いサイクルが良いのかは、会社によって異なるといえるでしょう。自社の資金力や経営状態に合った支払いをしていくことが重要となり、仕入債務を適切なスパンで支払えているかどうかを知るためには、仕入債務回転期間や、仕入債務回転率を算出し、推移を確認することが役立ちます。

仕入債務回転期間とは?

仕入債務回転期間とは?
仕入債務回転期間とは、実際に仕入れをしてから、支払いを行うまでにどのくらいかかっているのかを示す指標です。仕入先ごとの個別の支払いサイクルではなく、会社全体としてどの程度の期間で仕入債務を回しているのかを知ることができます。

仕入債務回転期間が短くなればなるほど、早期に支払い金額を用意しなければならなくなりますし、長いほど支払いまでに余裕ができます。自社の支払いサイクルが適切かどうか、仕入債務回転期間を知っておきましょう。

なお、同業他社の仕入債務回転期間を調べることで、自社の取引条件が適正かどうかを知ることもできます。業界の一般的な支払いサイクルと自社のサイクルに開きがある場合は、取引条件の見直しを打診してみてもいいかもしれません。

仕入債務回転期間の計算方法

仕入債務回転期間は、以下の式によって求められます。

仕入債務回転期間(月)=仕入債務÷1ヵ月の仕入高

例えば、10月の仕入債務が100万円、仕入高が70万円の会社の場合、100万円÷70万円で、仕入債務回転期間は約1.43ヵ月ということになります。

また、より細かく見る場合は、1日あたりで計算します。

仕入債務回転期間(日)=仕入債務÷(1年あたりの仕入高÷365日)

期末の仕入債務が300万円で、1年あたりの仕入高の総額が5,000万円の会社の場合、300万円÷(5,000万円÷365日)=21.9日となります。

なお、この計算では、仕入高を売上原価で代用することもあります。
仕入高は仕入れをした金額、売上原価は、その月(あるいはその日)に売り上げた品物の原価ですから、同じものではありません。しかし、どちらを使う場合でも、常にその金額を利用して計算することで、仕入債務回転期間の移り変わりを知ることができます。

仕入債務回転期間の考え方

仕入債務回転期間が長ければ、それだけ仕入高に対する仕入債務が大きいということになります。仕入債務が大きいというのは、返済までの期間に余裕があるということにつながります。しかし、仕入債務回転期間は、一概に長いほどいいとはいえません。

仕入高や売上原価に対して仕入債務が大きすぎるということは、事業規模に対して債務が大きすぎるということを指します。そのため、将来支払わなければならない仕入債務を現在の売上でカバーしきれない可能性が出てきます。また、それだけ負債が膨らんでいるということですから、銀行などから融資を受ける際に問題視されるリスクもあるでしょう。仕入債務回転期間は、自社の事業にマッチした状態をキープすることが大切です。

仕入債務回転率とは?

仕入債務回転率とは、会社が仕入債務を支払う際の効率の良さを計る指針です。計算式は下記のとおりです。

仕入債務回転率=(売上原価÷仕入債務)×100

仕入債務回転率は、売上原価に対する仕入債務が少ない(=仕入金額を早期に支払っている)ほど、数値が大きくなるということです。反対に仕入債務回転率が低いほど、支払いに時間をかけていることがわかります。仕入債務回転率で、自社の仕入債務の支払い状況の推移を把握しておきましょう。

将来の資金繰りのために仕入債務回転期間と仕入債務回転率をチェックしよう

会社の資金繰りを考える上で、仕入債務をどの段階で支払うのかはとても大切なことです。仕入債務の支払いタイミングが早ければ早いほど負債は減り、将来の支払いは軽くなります。しかし、売上の入金よりも前に支払わなければならなくなってしまうと、資金繰りに困ることになります。

一方で、仕入債務回転期間が長期化することにも、将来売上以上の支払いをしなければならなくなったり、負債が増えて銀行から問題視されたりするリスクがあります。自社の仕入債務回転期間や仕入債務回転率を長期的に確認することで、最適なサイクルを保っていくことが大切です。

MI Visionでは、短期的な支払い増加への対処だけでなく、長期的な資金繰りの改善についてもご相談を承っています。仕入債務の支払いタイミングに問題を感じている方は、ぜひご連絡ください。