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仕入債務回転期間の計算方法と考え方のポイントを解説

仕入債務回転期間の計算方法を知ることは、企業の資金繰りの状態を判断する手掛かりになります。
ここでは、仕入債務回転期間がどのようなもので、経営にどう活かしていけるのかをまとめました。また、仕入債務回転期間と売上債権回転期間の関係についても解説します。

仕入債務とは?

仕入債務とは、「将来支払わなければいけない債務」を示す言葉です。まだ支払っていない買掛金や、期日が到達していない約束手形などが該当します。また、本業に関わる未払金も、仕入債務に含まれます。

企業間で取引を行う場合、日本では、その場で現金払いをするのではなく、一定期間経過後にまとめて支払いをする、掛取引を行うケースが多くなっています。そのため、仕入と支払いのタイミングにずれが生じることになります。
支払いのタイミングで現金がなくては支払い不能に陥るため、仕入債務の額と手元資金の額には十分な注意が必要です。

仕入債務回転期間とは?

支払いサイトは、商取引において仕入れから支払いをするまでの期間を日数で示したものです。
新規の企業と取引を開始する場合、支払いサイトは必ず確認するポイントのひとつでしょう。売掛債権や受取手形を回収する売上債権回収サイトより、支払いサイトが短い企業の場合、売掛金の回収前に支払いをする必要があるため、資金繰りに困る可能性が高くなります。反対に、支払いサイトが売上債権回収サイトより長い企業との取引が多ければ、それだけ手元資金に余裕を持つことができます。
しかし、支払いサイトは、取引先によって異なる場合が多く、個別にチェックしていても、全体としての傾向をつかむのは難しいでしょう。

そこで役立つのが、仕入債務回転期間です。仕入債務回転期間は、仕入を行ってから支払いをするまでの期間がどのくらいなのかを示す指標となります。仕入債務回転期間を知ることで、取引先ごとの支払いサイトではなく、企業全体として、仕入から支払いまでの猶予がどのくらいあるのかを把握することができるのです。
なお、仕入債務回転期間は、買入債務回転期間と呼ばれることもあります。言葉は違いますが、どちらも意味は同じです。

仕入債務回転期間の計算方法

一般的に、仕入債務回転期間は、「日」もしくは「月」で表します。
計算方法は下記のとおりです。

<日で表す場合>
仕入債務回転期間=仕入債務÷(仕入高÷365日)

<月で表す場合>
仕入債務回転期間=仕入債務÷(仕入高÷12ヵ月)

また、「仕入高」ではなく「売上原価」を使って計算することもできます。
その場合の計算方法は下記のとおりです。

<日で表す場合>
仕入債務回転期間=仕入債務÷(売上原価÷365日)

<月で表す場合>
仕入債務回転期間=仕入債務÷(売上原価÷12ヵ月)

仕入高と売上原価は、どちらを利用しても問題はありませんが、仕入債務回転期間の推移を正しく判断するために、「売上高で計算する」と決めたら、常に売上高を使うようにしましょう。

なお、仕入債務の額に関しては、ある特定のタイミングの数字ではなく、前期の期末残高と当期の期首残高の合計を2で割った平均値を使用すると、より正確な数値を算出することができます。

仕入債務回転期間と売上債権回転期間の関係

仕入債務回転期間と似た指標に、売上債権回転期間があります。売上債権回転期間とは、買掛金が入金されるまでにどのくらいかかるのかを示す指標です。

仕入債務回転期間が売上債権回転期間よりも長ければ、支払いよりも入金タイミングのほうが早いということになりますから、資金繰りをしやすい状況にあると考えられます。
反対に、仕入債務回転期間よりも売上債権回転期間のほうが長い場合は、資金繰りが困難になる可能性が高いといえるでしょう。

 
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仕入債務回転期間の平均

2020年5月に発表された財務省財務総合政策研究所の「法人企業統計調査からみる日本企業の特徴」によると、2018年度の仕入債務回転期間の平均は、1.37月です。売上債権回転期間の平均は1.85月ですから、仕入債務回転期間は売上債権回転期間よりも、半月ほど短めであるのが一般的だといえるでしょう。

なお、資本金1,000万円未満の企業の仕入債務回転期間は、製造業の平均が0.76月、非製造業の平均は0.62月です。一方、資本金10億円以上の企業は、製造業の平均が1.70月で、非製造業の平均は1.37月となっています。このように仕入債務回転期間は、資本金が大きくなるほど長くなる傾向にあります。

仕入債務回転期間は短いほうがいい?長いほうがいい?

仕入債務回転率は、長い場合と短い場合、どちらが望ましいのでしょうか。
仕入債務回転期間が長いほうが、仕入から支払いまでの余裕があり、資金繰りの問題が起きにくいことは間違いありません。しかし、支払いサイトが長くても、いずれ支払わなければならないお金であることに変わりはありません。債務を抱え続けるよりも、早く支払ってしまったほうが経営上は健全であるという考え方もあるでしょう。

仕入債務回転期間は、取引の内容によって異なります。長期化している場合は、自社の運転資金に余裕を生みますが、将来の支払債務は増加している状況です。反対に、短期化している場合は、資金繰りが難しくなるリスクが高まりますが、取引先との関係性から条件を変更したことが理由であれば、将来の経営に対する安全性や収益面ではプラスに働くこともあるでしょう。

仕入債務回転期間の近年の傾向は?

仕入債務回転期間の平均は、1970年代頃には2.4ヵ月程度でしたが、その後、右肩下がりに減少しています。2000年代の終わり頃からは減少傾向も落ち着いてきましたが、増加する兆しは見えません(財務省財務総合政策研究所調べ)。
そのため、経営戦略として、あえて仕入債務回転期間を短縮し、早期に負債を手放してより好条件で取引を行うというのは、経営手法のひとつとして、特に問題のないケースだといえるでしょう。
しかし、特にそのような意図を持っているわけでもないのに仕入債務回転期間が短く、資金繰りが困難になっているという場合は、経営状態に難があるといわざるをえません。また、取引先からの信用が得られずに支払いサイトが短期化しているという場合も、改善を図る必要があります。

仕入債務回転率とは?

仕入債務回転率とは?

仕入債務の支払い効率を示す指標に、「仕入債務回転率」があります。
計算式は下記のとおりです。

仕入債務回転率=売上原価÷仕入債務×100

仕入債務回転率は、低いほど支払いに時間をかけているということになります。支払いに時間がかかっているというのは、仕入債務回転期間が長く、支払いに猶予があるということですが、支払い効率という意味ではあまり良いとはいえません。資金繰りに問題があって支払いが遅延している場合なども、仕入債務回転率は低くなります。
企業の経営状況を把握するには、仕入債務回転期間と仕入債務回転率のそれぞれが適正であるかを確認するといいでしょう。

 
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仕入債務回転期間はそのほかの指標や条件と組み合わせて考える

仕入債務回転期間を把握することで、仕入から支払いまでにどの程度猶予があるのかを理解することができます。しかし、一度仕入債務回転期間を計算しただけで、経営や資金繰りに反映させるのは難しいでしょう。
売上債権回転期間とのバランスやこれまでの推移、経営戦略などと照らし合わせて、総合的に自社の経営状況を分析することが大切です。